成功しないプロジェクト - 失敗しやすいプロジェクトの特徴 -
失敗しやすいプロジェクト
これまで、数十のプロジェクトに携わって来て、失敗しやすいプロジェクトの特徴みたいなものが見えてきた気がするのでまとめてみます。 特に、超大手企業2社とのお仕事に携わらせてもらった時に強く感じた「こんなんじゃ成功するわけねーだろ」をまとめたものになります。
失敗の原因となる問題が大きく3つあったため、それぞれについて下記に書いていきます。
たまに心の声が漏れていますが、お気になさらず…
失敗とは
ここでいう失敗とは、下記のようなことであることを前提にしています。
- プロジェクトに関わる人の多くがやる気をなくし、モチベーションが維持できなくなった。
- その結果、辞める人が多くなり、全ての人がとりあえず言われたからやっている状態になり、品質とパフォーマンスが著しく落ちる。
- プロジェクトが途中で頓挫した。
- プロジェクトがうまく進まず、デスマと化して病気になる人や途中で辞める人が続出した。
- プロジェクト収支が大きく赤字になった。
責任者の問題
まずは、責任者の問題。下記のような特徴を持った人が責任者になってしまったプロジェクトは大体失敗します。 上がまともじゃないと失敗するってある意味当たり前ですけどね。
その上が超絶優秀なら、現場は苦労すると思うけどワンチャン成功の可能性もあるのかも? (本当に優秀ならこんなできない部下を昇進させたり、責任者にして野放しにしておくようなことはしないと思いますが)
- 責任者に責任を取れる器がない。もしくは責任を取る気がない。
- 全てを誰かや何かのせいにする。
- 自分の失敗やミスを認めない。(こういう人、できない上司に本当に多い。というか、上司に限らずこういう人自体が結構多いけど上司になるとタチが悪い。)
- 部下の相談や提案に対して文句や苦言しか言わず、肯定することがほとんどない。
- 野党のように、反対することがお仕事だと思っている。何が具体的にだめなのか、どうするといいと思っているのか、といった建設的な意見がない。ただ反対する。
- 隠蔽体質。
- 透明性がない。
- 自分だけが出席した会議で得た大事な情報を流してくれない。
- その上に「それくらい言わなくてもわかるだろう。自分で考えろ。」とか言ってくる。
- 日本語通じない。
- 何言っても斜め上の回答返ってくる。聞きたいのはそこじゃない。
- 「ここは企業カラーと合わせて赤がいいと考えていますが、問題ないでしょうか?」『私は青が好きだなー。今日雨だし。』(何言ってんだ、こいつ。お前の好きな色なんて聞いてねーし、回答の全てが意味不明なんですけど…ってなるよね)
- 自分の言いたいことしか言わない系上司。
- この人と話しても意味がないと部下が感じてしまう。
- 何言っても斜め上の回答返ってくる。聞きたいのはそこじゃない。
- 分かっていないのに、分かってるふりをして振り回す
- わからないのに、勝手にジャストアイデアで決めて部下に命令する
- わからないことを認めたくない、できないと思われたくない
- わからないことを認めたら、部下に負けると思っている(まじで誰と戦ってんだよ)
こういう上司の元では、プロジェクトメンバーがモチベーションを維持することができません。 その結果、メンバーの目や心が死んでいきます。何のためにやっているのかわからなくなります。
こうして全ての部下がとりあえず言われたからやっている状態になり、品質とパフォーマンスが著しく落ち、誰も幸せになれない結果が待っています。
プロジェクトの進め方の問題
次は、プロジェクトの進め方の問題。上司(リーダー)やPMOがくそな場合に起きることが多いかもしれません。 (今までにまともに仕事してくれたPMOに出会ったことないですけど。きっとどこかにはいるんだと信じてる。)
下記のような進め方では、失敗する可能性がグンと上がります。成功したら、奇跡ですね。
- ゴールが不明確。誰もゴールが説明できない。
- みんながなんとなく言われたことだけを進めている。
- 出てきたスケジュールがそもそも破綻している。
- 誰もそのスケジュールでできると思っていないのに、リスケなく進んでいる。
- 絶対間に合わないけど、どうするんだろうねーなんて話が飛び交う。他人事。
- 間に合わないと伝えても、「間に合わせるんだよ(根性論)」の一点張り。
- 誰もそのスケジュールでできると思っていないのに、リスケなく進んでいる。
- やたらとマイクロマネジメントをしたがる。
- 絶対みないような細かいWBSを書かされる。
- 毎日進捗を報告しろと言われる。報告しても何かあるわけでなない。
- 「なんで遅れてるの?困るから間に合わせてよ。」とか言われるだけ。まじで時間の無駄。
- 優先順位がつけられない。
- 優先順位を聞いても、「全部大事だから全部期間内にやるんだよ。」とか言われる。(は?
- 変更管理しない。要件追加が多い。誰も止めない、止めれない。
- 当然再見積もりなんてない。赤字まっしぐら。
- 上の言うことをただ下に押し付けるの人はいるけど、上と下との折衝役がいない。
- 謎のプロジェクト管理者によって、どんどん仕事が増える。押し込まれる。
こういうプロジェクトの進め方では、どんどんカオスになっていきます。 指針とできるものがなく、みんなが迷子。全部やれって言われたって無理だし。
時間に追われて急いでやった結果、不具合が連発し、収集がつかなくなる。そしてデスマ。体調は崩れ、頭は働かず、状況は悪化。 でも「全部期間内にやるんだよ、そうじゃなきゃ困る」とか言われて、どっかのできないマンが『人を増やします!』とか言って闇雲に人を増やして対応。 人を増やしたって問題解決することは少なく、状況は変わらず、赤字にはなる。
そんな感じになりがち。
プロジェクトの文化の問題
最後に、プロジェクトの文化の問題。プロジェクト全体の文化が、下記のような場合は失敗することが多いです。 先に記載したような管理者やプロジェクトの進め方が悪いことが起因して、よくない文化が作られてしまうパターンも多いように思います。
- 多くの人が他人事。しかもプロジェクトは成功しないと思っている。
- 「自分だけが頑張っても仕方ない。どうせ何も変わらない」「失敗したとしても、自分のせいじゃないし」とか思っている。
- 隠蔽体質が蔓延している。
- 悪い報告をしない。隠す。無駄に怒られるだけで何も対策が取れないのが分かっているので、本来必要な報告をする文化が消滅する。
- 進捗が悪くても、「進捗問題ありません」と報告する。その結果、最後の方になっていきなり進捗が後退したりして、進捗報告が信用できなくなる悪循環が起きる。
- 不具合が大量にあるのに、「不具合0です」と報告する。
- 悪い報告をすると他の人に迷惑な目で見られるので誰も何も言わなくなる。
- 悪い報告をしない。隠す。無駄に怒られるだけで何も対策が取れないのが分かっているので、本来必要な報告をする文化が消滅する。
- 管理者や顧客が信用できていない。むしろ嫌い。敵だ、くらいに思っている。協力体制がない。
- メテオフォール開発をしている企業や部署の多くは、こうなってしまっている気がする。
- 既存踏襲文化が蔓延している。
- 既存で動いているものが一番信用できる、実績のある方法以外は認めない文化。
- 新しい提案をする人がいなくなり、新しい物を作っているのに何も変わらない何かにしかならず、モチベーションも上がらない。
- 既存で動いているものが一番信用できる、実績のある方法以外は認めない文化。
- 言われたことだけやっていれば良い、余計なことを提案する人は面倒なやつだという文化がある。
- 言われたことだけをやるので、指示した人の考慮不足があるとそこかしこで問題が出る。
- 問題の原因は指示した人にあると言われ、指示する人のやる気もメンバーへの信頼も無くなっていく。
- 問題に気付いて新しい提案をすると、そのまま仕事が増える一方になり、終わらない。誰も協力してくれない。
- 提案なんかしなければ仕事増えずに済んだのにくらいの目で見られ、やる気をなくす。
- 言われたことだけをやるので、指示した人の考慮不足があるとそこかしこで問題が出る。
プロジェクトメンバーの多くがどこか他人事で、ただ言われたことだけをやっていればいい、余計なことを言って怒られるのが嫌。 そんなプロジェクト文化だと、問題に気づくのが遅れ、気付いた時にはどうしようもない状態になっています。 最悪、もう戻れないところまで行ってしまって、プロジェクトを中止せざるを得なくなったり、デスマが止まらない状態になったりします。 多くの人が疑心暗鬼になり、プロジェクトは失敗します。
まとめ - プロジェクトを成功させるために必要だと思うこと -
3つのポイントにわけて、失敗しやすいプロジェクトの特徴を記載してみました。 反面教師にしていただければ幸いです。
最後に、これを大事にできればきっと大丈夫なポイントを記載しておきます。言うのは簡単だけど、実現するのは難しい。
- 透明性を高くし、適切な情報共有をする。
- 管理者もメンバーも、情報の取捨選択が適切にできるとなお良い。
- 必要な情報はどこかに残しておく。全員が見れるWikiなどがあると良い。
- 心理的安全性の確保。
- 言いたいことが言える環境を作る。大事。
- ゴールやビジョンを共有する。
- 達成したい目標、ゴールは何か。
- これだけは避けたいと思っていることの共有。
- やること、やらないことの明確な共有。
- 理想系と、譲歩できるポイントの共有。
- トレードオフを含む。
- 上司や管理者への提案は必ずエビデンスを残す。
- 優先順位をつけて、必要な時は何かを切り捨てる決断ができる。
- 全員が適切に評価され、モチベーション高く取り組める文化を作る。
- 管理者になれる器がない、準備がない人を管理職にしない。
- 管理職候補には、適切な教育、指導を受けさせ、適性を見極める。必要なら試用期間を作って不幸な部下を増やさない。